哲学 倫理学

いまこそ「倫理」の問いかけを――21世紀に倫理学が取り組むべき、3つのトピックとは

2019年5月22日

ソフィー

ソフィー

哲学や倫理に関心があります。

「倫理学」とは

さて、みなさんは「倫理学」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
アリストテレス? カント? ニーチェ?
うーん、どれも高尚で難解なイメージがあります。
あるいは、マイケル・サンデルでしょうか?
少し前に「ハーバード哲学教室」で話題になったサンデル教授の本は、たしかに倫理学の入門書としては最適なものでしょう。

それでも、倫理学ってどこか「よそよそしい」学問に思われがちです。
人間の道徳とか、幸福とか、「トロッコで何人殺すか」について一生懸命に議論する学問。

「そんなこと考えて、正直なんの役に立つの?」

これは、もっともな疑問です。
そして、世の中の偉い人の多くは同じことを考えています。

その結果として、悲しいことに、いま哲学科をはじめとする文系学部は、日本の大学から姿を消しつつあります(実は世界的にも同じことが言えるんですが)。
要するに、社会において倫理学は必要と判断されていないわけです。

けれども、この場を借りて、声を大にして言わせてもらいます。

「倫理学」こそ、いまの時代を生き抜く上で不可欠なものです。

なぜなら、21世紀に私たちが直面している大きな問題は、いずれも「倫理」に関わるものだからです。

ここでは、その例として3つのトピックを挙げてみました。
いずれも、倫理学を通して私たちが考えなければならない、重要な問題です。

情報技術

20世紀の終わりごろ、人類は「コンピュータ」や「インターネット」と呼ばれる武器を手にしました。
これらの新技術によって、人々の生活のあり方は一変します。

なにせ、情報の世界に国境はありません。
距離の隔たりも時間の隔たりも、そこではまったく無関係。

コミュニケーションの形式が変わり、仕事の価値観が変わりました。
これは歴史的に見ても、まさに「革命」と呼ぶにふさわしい事態でした。

そして20世紀の知識人の多くは、この変化が人類に明るい未来をもたらすだろうと予想しました。
IT革命によって幸福な社会が訪れるだろうと、大きな期待を寄せていたわけです。

しかし、21世紀の現状はどうでしょうか。
たしかに、便利な世の中になったものです。誰もがスマートホンを携帯し、TwitterやFacebookで友人と連絡を取り合っています。

けれども、その一方で、ネットにおける誹謗中傷や犯罪被害の数々は後を絶ちません。誤ったニュースによって、簡単に扇動されてしまう危険性もあります。
本当に、情報技術の発展は人類にとって有益なものなのでしょうか。

バイオテクノロジー

情報技術と同じく、前世紀の終わりごろから急速な発展を遂げた分野があります。
生命科学や、遺伝子工学――つまり「バイオテクノロジー」です。

DNAの二重らせん構造が発見されて以来、科学者の関心は生命の設計図である「遺伝子」へと向けられました。
そしてDNA情報の解析が進んだ現在、科学者はこの「遺伝子」を書きかえることにさえ成功しています。

たとえば、生殖細胞の遺伝子を改変して、より高い能力を備えた子どもを作ることも、技術上は可能です。
また、よく知られているように、羊やほかの動物と同様、人間のクローンを生み出すことさえ、けっして不可能ではないのです。

しかし、現在のところ、人類はその一歩を踏み出すことを躊躇しています。
なぜなら、そこにはつねに「倫理」の問いがついてまわるからです。

宗教(そしてテロ)

最後に――21世紀は「テロの時代」と呼ばれています。
2001年のニューヨークに端を発し、そして2010年代も終わろうとする現在にいたるまで、世界中で凄惨なテロ事件が起きています。
そして、その中心にあるのは、間違いなくイスラム教原理主義の存在でしょう。

彼らの信仰する原理主義を、しばしば私たちは非文明的な思想として批判します。
21世紀の豊かな時代に、いまさら「宗教」だなんて、と。

もちろん、無辜の市民を脅かすテロリズムは、どんな理由であっても許されるものではありません。
しかし、彼ら原理主義者からしてみれば、私たち欧米諸国の側も、ひとつの「宗教」に属しています(もちろん日本も)。

それはキリスト教という宗教であり、キリスト教的な価値観によって成立した文明社会です。

したがって、「テロの時代」の背景に隠れているのは、イスラム教世界と、私たちキリスト教世界との対立構造といえるでしょう。
どれだけ科学が発展しても、今日における宗教の問題は解決していません。
むしろ、異なる宗教的価値観の対立が、大きなひずみとなって「テロ」の惨禍を生み出しています。

はたして、そこに解決策はあるのでしょうか? そもそも宗教が共存することはできないのでしょうか?
この問題もまた、「倫理学」の手にゆだねられている気がしてなりません。

いまこそ「倫理学」を!

ここでは3つのトピックを簡単に挙げましたが、現代社会が直面している問題は、まだまだたくさんあります。
ただひとつ覚えておいて欲しいことは、現代ほど「倫理」が問われている時代はない、ということです。

たとえば前世紀の科学者たちは、研究に研究を重ね、ついに原子力を発見しました。それは科学の偉大な発展に寄与するものです。
しかし、原子力を技術としてどう利用するのか、という問題は、科学者のあずかり知らないところにあります。

科学者ではない誰かが、それについて真剣に考えるとき、はじめて「倫理」の問いが生まれます。
科学や産業の発展がひとつの段階に達したとき、そこに「倫理学」が立ちあらわれるのです。

もう一度言わせてください。
「倫理学」こそ、いまの時代を生き抜く上で不可欠なものです。







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