哲学というと、何か深遠な事柄を追及していく学問ではないか、と考える方もいると思います。
例えば、時間の始まりはいつからなのか、物事を考えている自分というのはそもそもどのような存在なのか。
実際の生活とは、全く関わりのないように思えることです。
また、生きていく中で、役にたつのかどうかという功利主義が価値基準である人たちにとっては、大学で哲学を学ぶことなど、無駄の一言で終わってしまうでしょう。
それでも、
今生きている人間やそれを取り巻いている事柄について、もっと根源的に本質的に突き詰めて考えていきたいと考えている人たちにとって、
大学で哲学を学ぶことは、とてもよい機会です。
といっても、大学で哲学を専門に研究している先生や学生たちは、先ほどあげたような問題を、頭を抱えながら、討論しているわけではありません。
具体的に言うと、これまで生きてきた先人たちは、哲学と呼ばれている学問とどのように向き合ってきたのかをまず学んでいきます。
哲学史と呼ばれている分野です。
それから、著名な哲学者が著した文献を購読していきます。
いわゆる原書購読です。
日本人の哲学者以外は、外国語で書かれている文献を読みます。
その際、一語一語をゆるがせにすることなく、精密に読み込んでいく訓練が学生に課されています。
大学で哲学を専門に学びたい人は、原書購読という難関が待ち構えていることに注意してください。