哲学者はしばしば、私たちの意表をつく名言を残します。
今回はそうした、私たちの心をつかんで離さない哲学者の名言の中から、パスカルによるものを2つ紹介します。
パスカルは17世紀のフランスで活躍した哲学者です。
哲学だけでなく、理系分野でも活躍した人物で、数学に登場するパスカルの三角形や、物理学の圧力の単位としてのパスカルの由来ともなった人です。
(1)「人間は天使でも獣でもない。だが不幸なことに、天使のまねをしようとして獣になってしまう」
私たちは神ではありませんから、一方で、完全な存在ではありません。
しかし他方で、全くダメな存在でもありません。
人間というのは、その間の中途半端なところに立っているのです。
この名言もそれを伝えています。
パスカルの哲学にはその実存的な中途半端さを伝えるものが多くあります。
(2)「われわれは絶壁が見えないようにするために、何か目をさえぎるものを前方に置いたあと、安心して絶壁のほうへ走っているのである」
これを読むと、ドキリとしませんか。
私たちは、何か大切な問題があるのにもかかわらず、それを見ないようにしているというのです。
それは例えば死や、何か絶望的な問題かもしれません。
それを隠すことで、私たちは日々を生きることができているのではないかと、パスカルは冷涼な言葉で語るのです。