美の哲学である美学の変遷
現代は様々な価値観が交錯する時代です。
そうした時代にあって、美の哲学であるところの美学は、いかなる変遷を遂げたのでしょうか。
20世紀初頭の芸術家・詩人・作曲家は、既存の美という概念にチャレンジし、芸術と美学の扱う範囲を広げました。
たとえば、ある哲学者は 、現実そのものが美的であり、「世界・芸術・自己はお互いを説明している」「それぞれが対話の美意識である」という哲学を打ち立てました。
この理論によれば、世界が変われば美が変わり、美が変われば世界が変わるのです。
これは大変なことです。
ポストモダンと呼ばれる時代の美学
つまり、美学がその時代の美についての哲学であるならば、美学は現代に合わせて姿を大きく変えるということになります。
いわゆるポストモダンと呼ばれる時代の美学がどうあるべきなのか、それを定義するために様々な試みがなされてきました。
美は美術の中心であり、オリジナルであるという前提は、もはや通用しません。
芸術の表現はかつで美しさが中心でしたが、それは扇動的なセンセーショナリズムにとって代わられてしまったからです。
たとえば、マルセル・デュシャンが男性用の立ち小便器を展示し、芸術作品と呼んだことは誰しも知っています。
そうした時代の中で、いかに美学を確立するかといった模索が、続けられているのです。