哲学と社会学の境
社会学を勉強していると、よく哲学者の著作などと出会います。
少し抽象的、思弁的な理論などを目にすると、「これって哲学なのでは?」といった疑問を持つこともあるのではないでしょうか。
実際、社会学は社会の哲学から発展してきた側面もありますし、元来哲学と社会学の境は曖昧です。
哲学と社会学のちがい
ここでは、哲学と社会学のちがいを考えてみましょう。
なぜこのちがいが大切なのかを先に説明しておくと、それはこうしたちがいを通して、社会学とはいかなる学問なのかを逆照射することができるからです。
さて、哲学と社会学のちがいですが、こうしたちがいを考えるには、哲学と社会学の境界線上のような立ち位置に立っていた学者を考えるのが最適でしょう。
ゲオルク・ジンメル
19世紀ドイツで活躍した学者、ゲオルク・ジンメルなどはまさにそのような人物です。
彼は『貨幣の哲学』などの著名からもわかるように、明らかに哲学者としての出自を持ちますが、同時に社会学者としてもカウントされています。
「二人」についての思考
彼が社会学者と言われるゆえんはどこでしょうか。
それは、彼が「二人」についての思考から考え始めていることです。
哲学は「一人」についての思考からでも始めることができますが、社会学はそうではありません。
それがとても大きなちがいです。
逆にいえば、社会学は複数の人間を扱う哲学から生まれた学問なのです。