老荘思想は、老師の思想である道教を、荘子が分かりやすく面白く発展させたものです。
道教は、今でいうところのスピリチャルな思想に近いです。
すべてのものはタオに通ずる。
すべてのものは一つですワンネスです。
というのはニュアンスとしては同じで、他の思想や宗教にも共通るエッセンスを持つ思想です。
荘子はその思想を分かりやすく説話として表現しています。
荘子は夢を見ました。
夢の中で荘子は蝶になっています。
蝶になり楽しく飛んでいると目が覚めて、荘子は考えました。
私は夢から覚めたのか、それとも蝶が荘子になる夢を見ているのか。
これが有名な胡蝶の夢です。
つまり現実というのは、夢なのか現実なのかはどっちでもよく、それを証明することなどだれにもできない。
現実かもしれないし、夢かもしれない。
それならば気楽に楽しく生きていけばいいではないかというものです。
現実にがんじがらめになって生きている現代の日本人にとっては重要な思想なのではないかと思います。
しかもこの夢か現実化分からないというのは、現代科学でもわかりません。
我々が感じている現実というのは、コンピューターのシミュレーションであるという説は、数学的には正しいとさえ言われています。
『続・哲学用語図鑑』(田中正人著、斎藤哲也監修)
11万部超のベストセラーとなった『哲学用語図鑑』の続編の『続・哲学用語図鑑』(田中正人著、斎藤哲也監修)。
目玉は「中国編」と「日本編」。
全70人の哲学者のうち、「中国編」では、孔子、老子、孫子、墨子、荘子、孟子を掲載。
中国思想の源流には、諸子百家の思想があります。
『続・哲学用語図鑑』では諸子百家の思想を「中国哲学」として紹介しています。