カントの『実践理性批判』
大学などで「倫理」を学ぶ場合、哲学の中の倫理学という分野を勉強することになります。
倫理を学ぶには、教科書などにあたるだけでなく、自ら古典を読んでみることが欠かせません。
18世紀のドイツの哲学者、イマニュエル・カントが書いた『実践理性批判』は、その中でも最も必須な古典の一つです。
カントの「三批判書」
カントには、『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』のいわゆる「三批判書」と呼ばれる主著があります。
その中で2冊目の『実践理性批判』は倫理の問題を扱った重要な著作です。
ここには何が書かれているのでしょうか。
カントの主張
カントは、第一批判である『純粋理性批判』において、
「人間の理性を越える超越的なものについて、人間は正しい答えを出すことはできない」
と説きます。
ところが、『実践理性批判』でのカントの主張はこれとは異なります。
彼は、
「人間が理性的であるためには、どうしても超越的なものを必要としてしまうのだ」
と主張するのです。
カントはなぜこのような主張をするのでしょうか。
「いいことをすると、最終的に報われる」世界でなければ、私たちはいいことをすることができません。
つまり、倫理的であるためには、世界がうまくできていてもらわないと困るわけです。
このようなカントの倫理論は、後世に大きな影響を与えました。