トランプ大統領のTwitterアカウントが永久凍結
アメリカのトランプ大統領のTwitterアカウントを永久凍結したTwitter社をドイツのメルケル首相が問題視したことが大きなニュースとなりました。
このことについて、慶應義塾大学法学部大屋雄裕教授のツイートが興味深かったのでまとめました。
①今回はtwitterがアメリカ発の企業だから国内における私人対国家とか対政治のように見えてるけど、同社が同じことを他国の政治家や政府それ自体に対してもできるし全世界の個人に対してもできるという点がポイントなわけですよ。
— Takehiro OHYA(@takehiroohya)Tue Jan 12 01:54:40 +0000 2021
②さらに言えばtwitter含めGAFAMなどは「アメリカ発の企業」「アメリカ的企業」であり、すでに多国籍企業ですらなくグローバル企業だとの表現も聞かれるところ。納税問題などを考えれば、彼らを特定国家の国内企業と単純に考えるわけには到底いかないわけで。
— Takehiro OHYA(@takehiroohya)Tue Jan 12 01:54:41 +0000 2021
③メルケル独首相による、表現の自由に関する問題は国家法によって統制されるべきだという主張の背景にはこのような問題意識があるわけでしょう。人権が衝突する場合の制約について、国家は調整するための正統性を民主的に与えられている。では企業はどうなのか、という。
— Takehiro OHYA(@takehiroohya)Tue Jan 12 01:54:41 +0000 2021
④そしてもちろん問題は、じゃあその国家は言うほど信頼できるのかという点にあり、EUが個人情報保護に関する規制を戦略的に活用したりしているのを見ると大変にうんざりするわけですね。権威主義国家がプラットフォーマーに検閲を要求してくるような事案も、当然にあったわけで。
— Takehiro OHYA(@takehiroohya)Tue Jan 12 01:54:41 +0000 2021
⑤どうすっかね、というあたりの話を15日にオンライン刊行予定の『国際問題』誌に書いたのでちょっと待っててください。執筆したのは昨年10月なので当然ですがネタはトランプ大統領ではなく新型コロナウイルス問題です。《広告》
— Takehiro OHYA(@takehiroohya)Tue Jan 12 01:54:42 +0000 2021
@takehiroohya
Professor of Jurisprudence, Keio University Faculty of Law. Visiting Professor, Nagoya University PhD Professional Office.
大屋雄裕氏について
慶應義塾大学法学部教授。
専攻分野、法哲学。
1974年生まれ。
東京大学法学部卒業。
同大学院法学政治学研究科助手、名古屋大学大学院法学研究科助教授、同准教授、同教授を経て2015年より現職。
http://fs1.law.keio.ac.jp/~t_ohya/
自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う(2014年)
20世紀の苦闘と幻滅を経て、私たちの社会は、どこへ向かおうとしているのか?“あり得べき社会”を構想する。
2014年に出版された「自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う」ですが、この本の第2章の国家と巨大企業の問題について論じられていることが、今回の「トランプ大統領のTwitterアカウント停止とドイツのメルケル首相が問題視したこと」に類似しているそうです。
今だからこそ、注目したい一冊ですね。
法哲学と法哲学の対話(2017年)
対話はすべての幸福か?
「法学」において法哲学の占めるべき位置はあるか,どこに。その内部での議論は実定法学に何を伝えるのか──こうした疑問を受けとめて,気鋭の論者ふたりの対話は,やがて法学の内外へと議論を誘発していく。対話がもたらすものは幸福か。知的世界は変わるのだろうか。